ページ

2016/01/03

江戸時代の地誌は面白い

静養中。
御岳山には行けなかったが、ともだちがお札を買ってきてくれたので悦んで受け取って
とりあえず壁に貼る。


昨年末に注文した「江戸地誌叢書巻四」が届いたので読む。
この巻、以前から気になってた「四神地名録」が収録されてるからである。
昨年末、国立国会図書館のライブラリで見つけたのだが、
何しろ手書きの草稿なので、くずし字だらけで読めない!
そう思ったら、FBで友人がこれを見つけてくれたのだ。
こちらは「翻刻」(手書きの文字を読みやすい活字に直したもの)なので
江戸時代の文章なので読みやすいとは言えないが、かなりましなのである。
さっそくAmazonをチェックすると、なんと中古で、しかもそこそこの価格で出てたのである。



この四神地名録、18世紀末頃、古松軒という人が命じられて、
江戸の地誌を取材してまとめたもの。
よく読むと、江戸とその近郊の各地を実際に訪れ、
その集落の古刹で取材してまわった記録。
だから、住職に由緒を尋ねたのに、知らないとしかいわないので閉口したとか、
〜〜は〜〜というけどウソっぽいとか
そんな生々しさがあって読んでて面白い。

たとえば、世田谷八幡宮のくだりはもう最高である。
ざっくり超訳すると、
八幡宮の小社あり。←昔は小さな神社だったのだな
義家公の建立というから詳しく聞こうと神主の大庭氏をたずねると、
この神主がヘンな人で、何を尋ねても知らずとしかいわない。
いかんともしがたく笑ったら相手も笑う。
「その人物狂言師の身振りがあり、おかしくも興があったのだ」
……で終わり。
つまり「神主がすっとぼけててまともに答えないのが面白かった」
で終わっていいのか君は! どんな由緒なのか調べるのが仕事なんじゃないのか。
と突っ込みたくなるくらい。
逆に、(たぶん)詳細な下調べをしてないからこそ
現場でのリアルな感想が面白いからまあよいのである。

かくして江戸時代に書かれた地誌は面白い。
真面目に調べた大作は「新編武蔵風土記稿」、
観光ガイド的な面白さは「江戸名所図会」
にまさるものはなさそうだけど、
こういうのはこういうので読んでて楽しいからいいのである。
片っ端から電子書籍化されないかねえ。
いや、翻刻されてないもともとの写本ならすでに公開されているのだが、
読めないのである……とほほ。

これを現代語に訳して、なおかつ各記事にいろいろ捕捉したり突っ込んだりするという
本に需要はないかしら。あったら書くぞ。




2 件のコメント:

  1. 写真が非公開になっているようです。

    返信削除
  2. すみません、気づいて直しましたー

    返信削除