「新世界より」読了。これ、面白い。
長いけど、読みやすくて描写がシンプルなので(イマドキの小説って感じで)苦も無く読めたわ。
まあ、日本SF大賞を取ったくらいだからSFで、
超能力ものでもあり、未来ものでもあり、ユートピアもの(≒ディストピアもの)でもあり、社会派でもあり、
超能力SFが多く出てきた時代、「スラン」のようにミュータントが迫害されて人間との戦いがおきて……という話がいくつかあったけど、
「新世界より」はその戦いののちに超能力者たち(呪力を持つ人々)によって作られた「新世界」(一見、ユートピアでありそれはもちろんディストピアでもある)が舞台。
それも日本。極めて日本的な新世界になってるところがミソ。
で、何かと親切に書かれているのでKindleで読むときは助かる。
読んでて「あ、そういえばこの伏線、前にでてたな。どんなだっけ」と思うと、親切にもそれを再度説明してくれたり思い出すきっかけをくれたりするのだ。
まあそういうことやってるから長くなるんだろうけど、
おかげでわかりやすくていい。
でね、何が面白いかというと、やはり「新世界の様子」に尽きるわけで、
(そういう意味では物語のクライマックスである東京編はおまけみたいなものかも)
その世界、というか社会の様子がわかってくる感じが楽しい。
ユートピア的な社会にはやはり欠陥があり、それが好奇心旺盛な主人公らによって暴かれたりほころびが見えたりするんだけど、そのたびに年齢がぴょこんとジャンプしてその後の話になって、をいをい、と思うのだけど、実はそれには理由があって、ユートピア的な解決がそこで為されているのだ。
その構成がたまらん。
久しぶりに日本のSFを読んだなあという感じで満足。
というわけで、次も日本SF大賞をとっててなおかつKindle化された小説をさがそう。
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