30年前、ともだちに連れられて小布施へ遊びに行った日も台風だったなあ。
台風どまんなかの暴風雨の中、山の中の地元向け露天風呂にはいったなあ。
あれは楽しかったなあ。
首から上は土砂降りのシャワーで肩から下は温泉でぬくぬくという
たのしいひとときの翌日は
破風高原に上って山小屋で一泊。
上まで車で送って貰う予定が、落石のため通れず、途中から徒歩。
山小屋は足元まで水が来てるし、
深夜は山小屋に入ってきた牛が目の前をうろうろしててめちゃビビるし、
今思えばめちゃ面白い体験でありました。
その翌日(だったと思う)は地獄谷に連れて行ってもらって
猿と一緒に写真撮ろうと思って不用意に近づいたら後ろから襲われてびっくりしたとか
そんな記憶がおぼろげに。
あのときの写真、どっかにネガがあるはずなのだが、行方不明なり。
今回は台風の影響はない……のかあるのか、
雨模様らしい。まあしょうがない。
朝5時に目覚めたのでフロントへ行く。
金具屋のWebサイトに「猫がいる」と書いてあったので
ちょいと尋ねてみると、番頭さんらしき人、
ちょっと待ってね、というやいなやバックヤードにひっこんで、
大五郎っぽい猫を抱きかかえて連れてきてくれた(笑)。
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無理矢理連れてこられてとまどうシロ |
名前はシロ。無愛想なおじいさん。
実はもう2匹いて、あと1匹はにゃんた。
部屋で寛いでたら猫の声が聞こえたので(木造なので音はよく響きます)
慌ててカメラを持ってフロントへ降りたら、
にゃんたと呼ばれるハチワレ君が玄関でゴロゴロしてたのだ。
おお、なんてラッキー。
もう1匹は一瞬だけしか顔を見せてくれず、撮れずじまい。
チェックアウト時に、猫写真の使用許可を貰ったので、いずれ猫連載で「金具屋の猫」編やります。
そんなこんなでひたすら猫を撮り、
浪漫風呂と露天風呂を堪能し、
(露天風呂には石枕が用意してあって湯船に仰向けに寝転がってのんびりできるという楽しいオプション付)
チェックアウトし、
荷物をフロントに預かってもらって、
カメラだけもって渋温泉散歩。
湯田中温泉から渋温泉いったいは、山之内温泉郷で、
川沿いに温泉街が並ぶ。
渋温泉は行基が発見したという(奈良時代の僧侶。続日本紀にも何度も名前が出てくる。ほんとにここに来たのかは謎だけど、各地で活躍してた)。
近くの温泉寺には武田信玄の書が残っているという。
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温泉寺 |
渋温泉には頼朝が入ったという伝承もある(史跡鎌倉風呂の元ネタです)。
で、なぜこんな山奥に温泉街が、というと、
善光寺と前橋を結ぶ「草津道」がこのあたりを通ってたのだ。
前橋-草津-志賀高原-湯田中・渋-善光寺
って感じ。だから往来もそれなりにあったもよう。
「日本歴史地名大系」によると、中世には菅平越えの道と並んで、志賀越えの草津道が細々と奥信濃の人々に利用されていたという。
湯田中のあたりは、「吾妻鏡」にも牧として登場する。
江戸時代になると藩主がたびたび訪れていたという。
善光寺参りと温泉&湯治はセットになってたんじゃかろうか。
それなりの温泉街ではあるが、古い街並みや湯治場っぽい雰囲気が残ってて散歩するのも楽しい。
帰りは送迎を断り、湯田中駅まで歩く。
送迎バスに頼ると、旅が「点と点」になっちゃう。
公共交通機関や徒歩を使うと、点と点が線でつながる。
それでこそ旅ってもんだ。
渋温泉入口には崖からわき水ならぬ「湧き湯」。
触ってみたらめちゃぬくい。いや熱いくらい。
こういうのは歩かないと発見できない。
川沿いの新道からちょっと斜面を上がったところにある
旧道をたらたらと歩く。さすがにちょっと退屈するが、
ところどころに「鍵を持ってる人だけ使える小さな公衆温泉」があって
それがこのあたりの文化なのだと思うと面白い。
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こんなちょっとした温泉がそこかしこにあらわれる |
湯田中温泉郷へ入り、湯宮神社で休憩して、
ほどなくして湯田中駅前。
駅前に無料足湯が用意されてるのでそこで足を休める。
温泉街はこれがあるからよい。
電車は1時間に1〜2本だが、
次の電車がたまたま特急のロマンスカー車両だったので
早めに乗り込んで最前列をゲット。
やっとロマンスカーの最前列に乗れたーー←なんかちょっと違う気がするけどいいや。
単線の長野電鉄をロマンスカーで最前列ってのも楽しいもんです。
誰もいなかったので三脚を立ててパノラマ撮ってみた。
(↓の写真だけFlickrです)
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先頭パノラマ |
車窓を楽しんでたんだけど、疲れで撃沈。
地下の長野駅で目覚める始末。もったいない。
まだちょいと時間があるので昼飯を食い、
金曜中にお願いといきなりメールが降ってきたので
iPadでPDFファイルをチェックして赤入れてメール。
でもって、ここまで来たんだから一応参拝しとくか、と
バスで善光寺。
参拝してたら雨。
まあ雨の善光寺ってのも乙なもんですな。
雨が上がるのを待って(傘なんて持ってないので)
長野駅に戻り、新幹線で帰宅。
北斎と猫と温泉とロマンスカー(ちょっと違う)の一泊旅行でありました。