午後からは博物館めぐり。
「グレートジャーニー 人類の旅」展と「国宝 大神社」展のはしごである。
まずは国立科学博物館の「グレートジャーニー 人類の旅」展。
グレートジャーニーといえば、アフリカで誕生した人類の祖先がだんだん地球上に広がっていく過程を表現した言葉で、てっきり、そのグレートジャーニーを解説してくれるナショジオっぽい展覧会だと思ってたのだけど、この特別展は日本人探検家の関野氏がグレートジャーニーのルートに沿って実際に旅をした記録がベース。
世界各地の風習や文化などを紹介してくれてるんだけど、
ちょっと期待してたのと違ったかな。
面白かったけど、あまり長居はせず、次へ向かう。
→グレートジャーニー
ただ写真撮影が原則として(もちろんフラッシュ撮影は不可。それから一部、干し首やミイラなど撮影不可の展示あり)Okなのがありがたい。
北極グマの剥製 |
妙にリアル。右下に撮影Okマークがあります。 |
続いて、上野公園の奥にある国立博物館で「国宝 大神社展」。今回のメインはこっち。
実は4月23日に行われたブロガー内覧会なるものに応募したんだけど、みごと落選。でもメールで割引券(プリントして窓口に持って行くと100円安くなる)をくれたので活用したのだ。
→国宝 大神社展
大神社展、ひとつを除いて大変すばらしい展示会。
そのひとつとは、全面的に撮影禁止なこと。うう。撮りたいものが山ほどあったのに。
うう。申し出た人には有料で撮影許可腕章を貸し出してくれるとか、ないかねえ。
国宝だと難しいのかねえ。
徹底してるなあと呆れたのは、わたしが展示物の前でiPhoneにメモをとってたときのこと。あとで図録を見返せるように、面白いと思ったものをメモしとこうと思ったのだ。
そしたら……注意されました。iPhoneはカメラを内蔵してるから、使うなら展示物から少し離れたところでやってくれ、メモを取るなら紙とペンにしてくれと。
なんだかなあ、でありました。
日本のこの手の展覧会は多くの場合撮影禁止なのだけど、ここまで徹底してるとは。
それはさておき、
大神社展では神社にまつわる、あるいは各神社に伝わる、国宝をはじめとする普段公開されてない様々な事物が展示されているのがもうたまらんのです。
古墳時代に神々を祀るために使われた祭祀具とか。
宗像神社の子持ち勾玉は初見。こんなものもあったのかとびっくり。
図録より |
宇佐神宮もいってみたいし。
九州古社めぐりしたい。
各神社に伝わる古神宝とか。コシンポウって響きがいいよね。音読するとなんか笑える。
延喜式神名帳のホンモノ(平安時代後期の写本だけど)を目にできたのはもうそれだけで感動。
鎌倉時代の写本「神代系図」もあり、日本書紀に出てくる神様を系図で整理したものなのだけど、一部、日本書紀に出てこない神様もいるそうだ。
で、ちょっと気になったのが、吉備子洲(いざなみといざなぎが最初に産んだ日本の島々のひとつ。岡山県の瀬戸内海沿岸にある。今は本州と陸続きになったので、洲じゃなくて半島)。吉がキチじゃなくてヨシ(土に口の方)になってるのだ。
鎌倉時代はこっちを使ってたの?
図録より |
こっちの方は俗字で、江戸時代くらいからのけっこう最近のものかと思ってたのですよ。
(ググると、土に口は俗字だと説明するサイトがよく出てくる)
鎌倉時代に既にこっちのキチがあったのかと思うとちょっと感慨深い。
そんなに前からあったのに、結局「俗字」から昇格させてもらえなかったのね。
やがて、伝世の名品コーナーへ。ここに今回ひとめ見たかったアレが展示されてるのだ。
奈良県の石上神宮(いそのかみじんぐう)に伝わる「七支刀」。
百済の王から倭王に送られた鉄の刀。なぜそれがわかるかというと、剣に書いてあったからですな。
元号が判読しづらく、具体的にいつであるかは諸説あるけど、幅を広く見積もっても4〜5世紀のこと。古墳時代であります。古墳時代の刀剣が文字付で現存してるんだから、欠損して読めない文字があって未だ完全解読に至ってないとはいえ、感動的であります。
これのホンモノが見られるというだけでも行く価値あり、的な。これ、
肉眼で見られてよかったけど、写真撮りたかったよ。
他にも面白い展示物だらけなのだが、
予想外にツボにきたのが平安時代から作られた神像。
あまりに一目瞭然なほど仏像の影響を受けてて、
最初の頃は表情もポーズも仏像なのが違和感ありすぎて微妙。
その微妙さが面白い。
まあ、神も仏も一緒になってた時代なのでさもありなんだけど、
少しずつ、顔が人間っぽくなっていって、なんというか人物埴輪と仏像と折衷したような、しかも顔が神様っぽくなくて、めちゃ表情豊かなのが現れてくるのだ。
この表情がもうたまらんのである。
ひとりでくすくす笑っておりました。
仏像はよく見るけど、仏像を真似た神像なんてものが日本にあったとは、寡聞にしてまったく知らず、いやはや楽しい。
これも写真に撮っておきたかったー。
特に表情がツボに来たのが大将軍八神社もの。
京都の大将軍八神社に神像が80体くらいあるらしいので、いつか観に行ってみたい。
この神社はほさんちの近くだし。いつかぜひ。
ひととおり回ってミュージアムショップを訪れると
「神社エール」なる逸品が(笑)。
ベタすぎてツボにはまったので瓶の写真を撮ろうとしたら
「撮影はご遠慮願います」と貼ってある。
うーんと、面白がって撮る人が多くてなんだかな、って気持ちはわかるけど、やっぱ撮るでしょ、これは。「神社エール」だもん。
歩き疲れたので展示会場を出て、
口直しに1Fの常設展(考古展示室)を訪れる。
大神社展に比べて人がいねーー(泣)。
ここは、一部の展示物を除いて撮影は自由にさせてくれるのがうれしいのだ。
しかも大神社展にも関係する、神獣鏡や勾玉など考古学的遺物がいろいろ展示されてて、合わせてみるとより楽しめます。必見です。
3〜4回訪れてるけど飽きません。
特に埴輪好きは考古展示室も一緒に訪れるべし。
考古展示質のはにわ。笑顔が素敵。 |
帰りはぶらりと不忍池に沿って、猫を探しながら歩きつつ、湯島駅から帰宅。
いやあ、面白かった。
「国宝 大神社展」。6月2日までやっております。これは必見。
4 件のコメント:
「吉」字は昔から音「きち」、訓「よし」で、筆記体(楷書、行書ともに)は上部を「土」に作り、活字体は上部を「士」に作るのです。山崎、川崎等の「崎」字の右上部を筆記体は「立」に作り、活字体は「大」に作るのと同じ関係です。むろん歴史は筆記体の方が古く、活字体は新しい。
諒軒さん、筆記と活字で違うというのは初耳でした。面白い話をありがとうございます。なるほど、ちょっと調べてみます。とりあえず図書館であされば資料がでてくるかしら。
大きな図書館で、『書道大字典』上(p.326)または『大書源』(p.450)を御覧ください。これらの字典は中国の古代から近代に至る文字を集めたものです。我国での用例は『日本名跡大字典』(p.205)で見られます。古い時代の楷書、行書は上部を「土」に作る用例ばかりであることが知られます。
筆記体と活字体は、同一の字体の字もありますが、多少筆画が異なる字もあるといふことです。
猶、「吉」字の音と訓は漢和辞典で容易に調べられます。
諒軒さん、書道大字典と大書源の件、ありがとうございます。大きな図書館へいったときあたってみます。
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