2012/11/18

「のぼうの城」観てきた

何年か前にスピリッツで「のぼうの城」が短期集中連載されてて、
ああ、小説が売れたからコミカライズされたんだなと思って読んでて、
映画が公開されると知って、ああ、原作が売れたからコミカライズと映画化が同時に進んで、やっと映画が公開されるんだなと普通に思ってたんだけど、
いやはや、順番が全然違うのであった。世の中面白い。

まず、「のぼうの城」の映画の脚本があったのだ。
それを久保田修という映画プロデューサーが映画化しようとしたのだが、
今のご時世、原作がないオリジナル脚本だとなかなかお金が集まらない。
そこで、その脚本(最初は「忍ぶの城」というタイトルだった)を小説化し、
それを原作ということにしようとなり、脚本家が自分でノベライズして出版したところ、なんとベストセラーに。おかげで金が集まり、
制作委員会を無事立ち上げることができ、映画を作ったのはいいけれども、公開直前にあの大震災があり……云々。
なんと、
原作の原作が脚本だったという回り回ったややこしい経緯なのだ。
その辺、「のぼうの城」のサイトに、プロデューサーのブログとして詳しく書いてあって面白いので必読。
「のぼうの城」ができるまで

映画の公式サイトなんてふつう観ないんだが、
実はこの久保田修というのが学生時代の友達で、もう20年くらい会ってない(と思う)んだけど、いつのまにか映画プロデューサーになっておりまして、先日Facebookで突然連絡をよこしてくれやがりまして、前売り券を送ってくれたのである。ありがたや。

そうなると、へうげもの好き、日本の中世好きとしては観に行かないわけにはいかず、今朝、やっと映画館へ行く時間を作ったのである。
なるべくすいてそうなとこにしようってことで、多摩センターへ。

で、「のぼうの城」だけど、じわじわとよいわ、これ。
ど迫力の大合戦シーンで大クライマックスで感動の嵐……ってことがないのがいい。
(まあ、史実的にそんなに派手な合戦自体起きてないし)
すごく気持ちよく世界が描けてるの。

細かい描写がリアルで、全体の雰囲気がすごくいいのだ。
オープニングの秀吉が高松城で見せた水攻めのシーンからはじまり、
石田三成と大谷吉継のやりとりも両者の性格がよく出てるし、
安土桃山時代の雰囲気が、当時の館や城の様子も含めてリアルだし、
野村萬斎はハマりすぎてるし、佐藤浩市はやたらかっこよく馬を乗りこなしてるし、鈴木保奈美はキリッとしててよいし、姫はわかりやすくツンデレで、三成はほどよく厨二病で。
攻められたあとにボロくなった城門の様子も、特撮のシーンもいい。
ひとりひとりひとつひとつの(人物のみならず城館や土地や柵なんかも含めて)キャラクターや時代の描き方がはっきりしてて違和感なくその世界を楽しめるのだ。
この秀吉と三成で、他のエピソードも観てみたい、と思うもの。
でもリアルすぎなくて、時折ポップな演出がまじってて、ちゃんと映画になってる。
できれば、エンドロールも最後まで観るべし。

こういうのを観ると史実はどうだったのか調べたくなるのが常なのだけど
上手に端折ってあるなあというのがわかる。
全長26kmあまりのムチャな堤防を即席で築き、今でもその一部が残ってるというのは本当の話であるわけで、
現地に行ってみたくなるわあ。
三成が陣を構えたといわれる古墳があるのはさきたま古墳群で、
この古墳群も一度訪れたい場所なのだよねえ。
埼玉古墳群 - Wikipedia


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