2015/06/26

樫尾俊雄発明記念館 の予約の仕方・行き方・楽しみ方


先日、
スリバチ学会の懇親会で、街歩き仲間の女子が「樫尾俊雄発明記念館に行きたい」と
言ったのである。
カシオ計算機創業者である樫尾四兄弟の発明担当次男。
国際救助隊でいえばブレインズ。
科学特捜隊でいえばイデ隊員。
なんか違う気もするけどまあいいや。
カシオ計算機の数々の製品に携わってきた彼の居宅が記念館として2年前から公開されているのだ。

じゃあいけそうな人を募って行きましょか、
とfacebookでメンバーを募ったのが先々週のこと。
あのときは「事前申し込みすればいいからさくっといけるだろう」と思ってたのだ。
だがしかし、いろいろと甘くはないのであった。

1) 樫尾俊雄発明記念館を訪問するための手続き

 樫尾俊雄発明記念館は完全予約制である。平日のみである。
 これが大前提。
 では予約しよう。
 
 ・一番重要なのは「枠」をおさえることである。
  行きたい日を決めたら、とにかく「枠」をおさえること。
  細かいことはあとからでいい。

  なぜか。

 ・樫尾俊雄発明記念館を訪問できる時間は決まっている。
  平日の10時半〜 12時半〜 14時半〜 の3回だけであり、
  そのどこかの枠をとらなきゃいけない。

 ・樫尾俊雄発明記念館に入れるのは「1枠につき1グループだけ」である。
  だから、たったひとりの訪問でも1枠とっちゃうので、
  空いてる枠をまずおさえないと話にならないのだ。

  そこに罠が待っている。

 ・樫尾俊雄発明記念館のサイトから予約するのだが、
  カレンダーをみても「どの日のどの枠なら空いているかがわからない」のだ。
  まず「申し込んで」、メールの返信をもらって、はじめてわかるのである。

  わたしはまずここでつまづいた。当初予定した30日が埋まってたのである。
  返信メールについているカレンダーでやっと「その時点で空いてる枠」がわかる。
  26日なら空いてるというので慌てて抑える。
 
  つまり、何はともあれ「申し込みメール」を送り、
  空いている枠を教えてもらってそこをおさえないと
  メンバーも集められないのである。おそろしや。
 →[HOME]一般財団法人樫尾俊雄記念財団 樫尾俊雄発明記念館

  さらに罠がある。

 ・樫尾俊雄発明記念館に入れるのは「1グループに付10人まで」である。
  だからもう最初に「10人」で申し込んじゃうのがよい。
  我々はギリギリの人数となりました。最後は行きたいという人を断ったほど。

 ・その辺を踏まえて、こちらからお申し込み下さい。

  もともと来場者が多い記念館じゃないので(あまり知られてないし)、
  そういう悠長なシステムで問題なかったのだろう。
  だがしかし、
  6月の頭に各サイトに一斉に樫尾俊雄発明記念館の記事が載ったのだ。
  そのせいで来館希望者が急激に増えておっつかないらしい。
  こういうのとか(笑)。
  →樫尾俊雄発明記念館:現代のスマートウォッチよりスゴイ?――カシオの歴代多機能時計はこんなにユニークだった (1/3) - ITmedia Mobile

  無事枠を抑えたら、おでかけである。

2) 樫尾俊雄発明記念館へのアクセスを楽しむ

 ・樫尾俊雄発明記念館へどう行くか。
  樫尾俊雄氏の自宅を記念館として公開しているものだから、交通の便は悪い。
  成城学園前駅からけっこう歩く。タクシーやバスを使う人も多い。
  でもそれはつまらん。

  なぜなら、樫尾俊雄発明記念館の面白さは
   ・立地
   ・昭和の邸宅
   ・発明記念館の展示
  の3つにあるからだ。

 ・わたしは「喜多見駅から」の徒歩をお勧めする。
  今回わたしが設定し、10人で歩いたのはこんなルート。


 小田急線喜多見駅に集合し、
 まずは野川に向かって、江戸時代の橋(文化年間の石橋供養塔があることからわかるように、江戸時代からある古道の橋なのである)を渡り、小田急をくぐる。
 そして崖下の道に沿って北上する。
 これも古くからの道だ(明治初期の地図にかろうじて描かれてるから)。
 しばらく歩くと、「成城4丁目発明の杜緑地」なる看板が見える。


 そこが「樫尾俊雄発明記念館」の下。
 樫尾俊雄邸の河岸段丘に作られた庭を世田谷区が公開しており、
 崖を登れるのだ。国分寺崖線の崖はぜひ味わっていただきたい。
 このコースなら、立地・邸宅・展示の3つをいっぺんに楽しめる。
こんな風の斜面の階段を上る。右に見える建物がそう。

斜面の庭園はこの門が終点。一度外に出てから玄関へ回る。

 登りきったらもう記念館である。
 まあ、寄り道しないなら30分みとけばOk。たったか歩いたら20分かかんないけど、
 我々は寄り道集団なので、ギリギリでした。
 
 実はもうちょっと早く集合してもうちょっと地形とか古道を回りつつアプローチというコースを考えたのだけど、考えてみたら半数は街歩きクラスタ以外なので、さすがにマニアックなのはアレだなということで、譲れないところだけ残したルートにしたのである。

 到着したら玄関に回って呼び鈴を押すべし。

3)  樫尾俊雄発明記念館を楽しむ

  あとは中の人が案内してくれます。
  玄関からはいり、芳名帳に署名し、簡単な案内ビデオを見る。
  邸内は全面的に「撮影Ok」なのでカメラは忘れずに。
  もう玄関ホールからして、樫尾俊雄氏の趣味に溢れてて面白いのだ。

  最初の目玉は「14-A」なるリレー式計算機をはじめとする数の部屋。
  ここは初期の電気計算機からカシオミニ、関数電卓まで並んでて
  カシオ計算機の歴史がわかる。
  見どころは、14-Aの稼働品。客先に保管されていた14-Aを引き取り、
  動作するようにカシオの技術者がプロジェクトを組んで直したという。
  これはすごい!
  だって、何百個のリレーをつないで計算してた大昔のメカっすよ。

背面のリレーにメモ発見。
リレーが動いて計算する。その音がたまらんのである。必聴。
  乗算除算を行わせると、盤面がめまぐるしく動く。
  地道に計算してるなというのがわかる。

カシオミニ


  続いて音の部屋。カシオトーンである。

  さらに時の部屋。カシオトロン……つまり腕時計ですな。
  最初のデジタル腕時計からG-SHOCK、さらに今は時の日記念と称して、
  数々の(「やっちゃった感」のある)面白い時計群が展示されてる。
  時計に関しては、ITMediaに書いた記事を読んで下さい。
  →樫尾俊雄発明記念館:現代のスマートウォッチよりスゴイ?――カシオの歴代多機能時計はこんなにユニークだった (1/3) - ITmedia Mobile


  最後は書斎。そこにある「煙草リング」は必見(なのか?)。

  きちんと説明してくれるので、はしゃいでるとたっぷり2時間遊べます。

4)帰りは成城学園前へ

 帰りは記念館前を南下し、不動橋から富士山を見て(まあ今日は雨模様だったので無でした)
 成城学園前駅まで豪邸を楽しみつつ歩く。
 途中、成城ALPSや成城風月堂でお茶をするもよし。
 我々は人数が多かったので、甘味の「櫻子」でかき氷やら遅い昼飯やらあんみつやらで談笑したのでありました。

  以上。

  予約でバタバタしたけど、面白かったわー。

 思うのだけど、今の日本のメーカーってこういう展示を「各社がそれぞれ勝手にやってる」のが現状で、多くは本社構内に展示スペースを設けており、一般の人はとってもはいりづらい。
 それはもったいない。
 カメラに「日本カメラ博物館」があるように
 こういう家電品にもあるべきなのだ。
 日本の家電メーカーはもう数々の「やっちゃった感ばりばりの製品」を作り出してきたわけで、今から見ると貴重な品々ってたくさんある。
 そういうのを集めた黒歴史博物館、いや黒歴史に限らなくていいんだけど、
 電化製品博物館って作るべきだと思うのだよな。
 常設展示だけでも楽しめるヤツ。
 ぜひやっていただきたい。

 にしても、1ヶ月に2度も訪れることになるとは。
 →混沌の屋形風呂: 樫尾俊雄発明記念館の日

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