2013/03/04

今振り返るeneloopの何が画期的だったのか

さて今そこら中で話題になってるeneloopの話。
エネループたち。左下のliteは軽いのでマウス用に使ってる。

そもそもエネループとはなんだったのか。
他のニッケル水素充電池と何か違ってたのか。
違ってたのである。ここ重要

昔、単三型電池で動くデジカメが主流だった頃、
ニッケル水素電池に興味を持って、
あれこれ調べたり取材に行ったりしてた関係で、
エネループは初代からよく知ってるのだ。

当時、
ニッケル水素充電池は使ってると持ちが悪くなる、
フル充電しておいたはずなのに、すぐ使えなくなるといわれてて、
世間的には「メモリ効果のせいだ」とされていた。
今でもそう信じられている。
それが
ほんとかどうか知りたくて、
三洋電機(四国だった!)までDOS/Vマガジンの取材で行ったのは2001年の話。
で、いろいろ調べた結果、原因は3つあると。

ひとつは「メモリ効果」。
このせいで、継ぎ足し充電はよくないといわれてた。
メモリ効果とその対策について詳しくは説明がめんどくさいので割愛。

もうひとつは「自然放電」。
ニッケル水素充電池って、ほっとくと自己放電する。
当時のインタビュー原稿を引っ張り出して見てみると、
「25℃の中に1ヶ月放置しておいて自己放電でどれだけ減るかといいますと、だいたい2〜3割は減ってしまいます」とある。室温が上がるともっと自己放電しちゃう。
でかいでしょ。1ヶ月で2〜3割って。充電器にセットしっぱなしでも、フル充電になったら充電器はもう働かないので、1ヶ月放置したら2〜3割減ってるのだ。
そら、電池の持ちが悪く感じるわな。

みっつめは「接点の汚れ」。
当時の取材で一番以外だったのがこれで、開発側としては、電池の持ちが急に悪くなったという話の半分はメモリ効果じゃなくて接点の汚れだろうといってた。
それ以来、ときどき接点を拭くようにしてる(手の脂がやばいらしいので)。
当時(2001年)に書いたインタビュー記事を読み返してみたけど、面白いな。

で、個人的に一番気になったのが自己放電。
充電器にセットしてフル充電したまま放置しておくと
自然放電で減っていくので、いざカメラにセットしたときは、
すでに90%とか80%とかになってたのだ。
だから当時はでかける1時間くらい前に、いったん電池を充電器から外して、再度はめ直して充電し直してたな。めいっぱい「継ぎ足し充電」してたわけで、してもいいんですよ別に。ダメっていう人多いけど、わたしは気にせずにしてた。

だから、2005年、エネループが登場したとき、
「これはすごい!」と喝采したのだ。
それまでニッケル水素充電池はいかに容量を増やすかで競争してて
各社が毎年少しずつ1900mA→2000mA→2100mA→2200mAとなってた時代、
エネループは当時の最高の容量よりちょっと少ない、
2000mA(規格には、min.1900mA)で登場した。
その代わり、自己放電をギリギリまで抑えて登場した。
1年放置しても85%が残ってるので、数ヶ月前に充電したくらいならフル充電感覚で普通に使えるのだ。
これが画期的だったのである。
自己放電を抑えられれば、
充電した状態で販売できる」→お店で買ってすぐ使える
使う直前にフル充電し直さなくていい
というわけで、使い勝手が著しく向上するのだ。
乾電池感覚で買ってすぐ使えるし、
最後にフル充電してからどのくらいたったかなんてまったく気にせず使えて充電回数も多いという
利便性を著しく向上した電池だったのだ。

それまでの大容量追求なニッケル水素充電池とは
コンセプトをがらっと変えた、
ニッケル水素充電池ならではの気遣いが不要な充電池になったのである。

それ以来、うちに大量にあったニッケル水素充電池は
多少容量は減っても、全部エネループに切り替えたもの。
その頃、パナソニックのエボルタは大容量を目指して進んでた。
(と思ってる。違ってたらすまん)

やがて三洋電機がパナソニックに吸収され、
パナソニックはエネループとエボルタという2つのニッケル水素充電池を持つに至ったのだ。
そして今回、新型ニッケル水素充電池として
エネループとエボルタの両方をそのまま継承し、
そのデザインがあまりにひどいということで
そこら中のブログでdisられたわけである。
EVOLTA 長もち年越しチャレンジ 乾電池エボルタで、ノン・ストップで挑んだバーベル挙げのチャレンジは大成功!

エネループもエボルタもどっちにも「Panasonic」とデカデカと書かれてて
eneloop、EVOLTAってロゴは小さくなってて
これはユーザーが混乱するんじゃないかと。

なにしろ、前述したように両者はコンセプトが異なるのだ。
新しいエネループやエボルタのデザインからはそれが全然伝わってこない。
単に「どっちもパナソニックになりました」という以上のものが伝わってこない。
その中途半端さがいかん、と。
エネループとエボルタの両方を別コンセプトの製品として
生かすのなら製品ロゴをはっきり出すべきだし、
エネループを完全に吸収しちゃうのなら
エネループを「エボルタ・エコ」ってな名前にかえて統一すればいいし、
エネループプロを廃して
エボルタはハイエンドモデルの名前にして
スタンダードモデルはエネループにしちゃうという手もあるし、
なんかどっちつかずのまま両方を生かそうとして
両方を殺しちゃってるような
そんな残念さが漂うのである。
しかもスペックを見ても容量にそれほど大きな差はないわけで。

これではエネループを愛用してた層からはアレな目で見られるし、
エネループをよく知らなかった層からは「なんでパナソニックはこんなにたくさんの種類を出してるの?」としか思われない。

ちなみにわたしは、性格がかなりアバウトなので
自然放電が少ない充電池じゃないと大変困るわけで、
エネループを使い続けます。


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