2012年12月29日土曜日

勝手に死なれちゃ困ります

「上野先生、勝手に死なれちゃ困ります-僕らの介護不安に答えてください」
ってインパクトがあるいいタイトルだなあ。

「希望難民ご一行様」の続編だと思って続けて読むとすごくいい。

中味は上野千鶴子と古市憲寿の対談で、
前半はタイトル通り、将来両親を介護する世代になったときの
介護不安に答えてくださいな内容なのだけど、
そこから、両親と子供の関係、上の世代は下の世代に何を残したかを中心に
「団塊ジュニア」の代表たる古市憲寿と「団塊世代」の代表たる上野千鶴子の世代間対談になってて、それがいい感じに「希望難民ご一行様」の続きになってるのだ。

その対談ときたら、
遠慮なくおいしいところだけもっていこうとする古市憲寿に
容赦なくダメ出しする上野千鶴子の痛快さが気持ちいいのである。

わざとそういう展開にまとめてるのだろうけど、
いい感じに「上野千鶴子が古市憲寿に答える」という型ができてる。
上野千鶴子が団塊世代に向ける視線は辛辣で痛快で、
古市 うちの権力構造は、父親がわりと孤立していて、母親と子どもが一体、みたいな感じですね。
上野 それが団塊女の作り出した家庭内パラダイスなのよ。それを私は「団塊女のクイーンダム(女王国)」と呼んでる。
といい、「団塊の親子関係は失敗としか思えない」と言い切る始末。

わたしは両者のちょうど中間の世代に当たるので、
真ん中から上の世代と下の世代を眺める感じになってまことに具合がいいのだが、
その視点からも、戦争を知る世代からはじまった、わたしたちがしたような苦労を子供達にはさせたくない、子供達にはできるだけ楽をさせたい、という願いが順番に下りてきて、今にいたってるんだなあというのはすごく感じてるもの。

特に、上野千鶴子が、日本の家族制度と思われてる「会社員の父親と専業主婦の母親」とか「終身雇用」という構図は戦後の一時期、たかだか50年のことでしかなく、世界的に見ても「歴史上約1世紀くらいしか続かなかった、太陽起源の短いモデルだと考えたらいい」というくだりや、
今は世代間格差といわれてるけど、「正確にいえば既得権益を持っていた人と、それ以外の人たちの格差」と看過し、「社会変革に関して歴史上わかっていることは、既得権を持った集団が内部改革によって変化することは、ほぼないってこと」とくるくだりはすごくいい。

でも本書の本題はそこではなくて、その先にどうしていくか、ということ。
古市憲寿の素朴を装った数々の疑問に対して上野千鶴子が様々な示唆を与えて尻を叩くという展開。介護不安の話もそこに向かっていくわけだ。

最後には「という言葉を、ついに古市くんから引き出してしまったわ!(笑)」という上野千鶴子が笑うところがクライマックスであります。

いやあ面白かった。
世代間対談(特に相手が上野千鶴子!)にしたところが成功の要因かなと思う。


考えてみたら、わたしも自分の老後がめちゃ心配なんだよな(終身雇用どころか、いつどうなるかわからんフリーランスだし。隠居したいなという望みは叶えられそうにないし)。さて20年後、自分はどうなっててどうしているやら。
趣味であれこれ探ってた東京の古道に関する本でも書くのを老後の楽しみにしようと思ってたら、どういうわけか「東京古道散歩」なんて本をもう書いちゃったし……。
でもまあ可能な限り、技術の進化とその浸透と拡散につきあっていこうとは思っております。だっておもしろいもん。

0 件のコメント: