2013年9月22日日曜日

やっと「風立ちぬ」。

映画でも観に行くかということで、
ずっと気になってた宮崎駿の「風立ちぬ」。
新宿ピカデリーはオンライン予約していくのがいいってことで
なんとか予約し(もうちょっと使いやすい設計ができると思うぞ>予約サイト)
新装なったピカデリーへはじめて行くと(新宿ピカデリーが新しくなったのはずいぶん前だけど、行ったことなかったのだ)、
その設計がちょいと難ありだなあ、動線が悪いなあとブツブツ。


で、映画がはじまる。
観に行く予定の映画はできるだけ詳細な映画評を見ないことにしてるので
可能な限りまっさらな気持ちで「風立ちぬ」というより「宮崎駿」と対峙。
これを遺作にしようと思って作ったに違いない、というくらい
ジブリ映画のウリでもあったエンターテイメント制やストーリー的盛り上がりを廃して
その分、監督の表現や伝えたいことが
めいっぱい詰まってるなあと真剣に見る。
なんだか遺作っぽい(もちろん監督は元気なので、遺作とはいわんけど)。
引退宣言したのわかる気がする。
こんな映画を作ったあとで、また子供も楽しめるエンターテイメントとかムリでしょう。

そういう意味では、いわゆるジブリ映画ではなくて、宮崎駿映画でした。
堪能です。

事前情報を拝して……とはいえ、これだけの話題作で、しかも封切りからずいぶん日がたっているので、勝手に入ってくる情報もいろいろありまして、それについての感想から。

・軍国主義だ:あれを見て軍国主義とか頭おかしいとしか思えません。ちなみに反戦映画でもありません。

・喫煙シーンが多すぎる:確かに多い。でもそういう大人はみな喫煙する時代だったのだ、という擁護は間違ってる気がする。あれはどう見ても、宮崎駿にとってあそこでタバコが一番自然であって、今回は遠慮無く自分にとって自然な表現をしたんだろうなと思う。つまり、わざとですね。ジム・ジャームッシュの「コーヒー&シガレッツ」を見て喫煙シーンが多すぎると批判するのがバカバカしいようなものかと←それは極端か。

・庵野秀明が主人公の声なのは云々:よいと思う。明らかに主人公とその妻の声が浮いてるんだけど、そもそもあのふたりは浮いてるわけで。あのふたりの浮世離れっぷりも含めて「風立ちぬ」なんじゃないか?

で、夢の中からはじまった映画は、その前半で、この映画を楽しむための基礎知識をきちんと見せてくれる。震災のシーンも含めて。この映画はこういう表現をするよ、堀越二郎はこういうヤツだよ、本庄はこういうヤツで堀越二郎と現実の橋渡しをしてるんだよってのを叩き込んでから、ぐぐっと話が展開していく。さすがです。

ひっかかるのが、本庄のセリフにあった「矛盾」。この矛盾がいたるところに、矛盾したまま提示される。その矛盾を解決しようって気はさらさらないのだけど、矛盾してるってことはしっかり見ておけよといってるようで。

夢の中で出てくる「ピラミッドのある世界とない世界」。主人公は「ある世界」ときっぱりいう。いうのである。
エンターテイメント映画の主人公はそんなこと絶対いわない。
エンターテイメント映画の主人公は死を予期してサナトリウムに去って行く妻を放置したりはしない。

命は等価であり、恋愛は至上であり、目の前の死はほっとけないし、自分のよかれと思ってやったことが誰かの死を招くと悩む。あれもこれも全部引き受けてやろうってのがだいたいエンターテイメント映画の主人公の仕事なんだけど、
「風立ちぬ」にそれはない。「ピラミッドのある世界」を選んだのだから。
まあ、ミモフタもないいい方をすれば、ひとでなし、なんだけど。

だから、この映画はすごい。

鑑賞を終えて、Webにあるいろんな人のレビューを読んでみたのだけど、
鑑賞した上で一番腑に落ちたのがこれでした。
ああなるほど、と気づかなかったとこまで詳細に解説してくれててありがたや。
【レポート】『風立ちぬ』は宮崎駿の作家性が強い「残酷で恐ろしくて美しい映画」 - 岡田斗司夫なう。

アニメは手ですべて描いているから、そこに描かれているものはすべて意図的ってのはわかってるつもりで、真剣に見ていたのだけれども(だから前半に特に喫煙シーンが多いのもわざとなのです)、さすがですわ。
ひとつひとつのシーンを思い出すと全部つながるもの。
やっぱすごい映画だわ。感動もカタルシスも容赦もないけど、傑作でしょう。

映画を見終わって、新宿をぶらぶらしてると
妻のおともだちがたまたま新宿にいて、
じゃあ一緒にお茶しようってんで
カフェ・コムサであれこれ楽しく雑談。
何しろ話題が、岳南鉄道とかSLとかですから。

そんな楽しい休日でありました。
でも帰宅後はお仕事。
GX7のレビューをやっと仕上げてメールする。


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