2011年7月19日火曜日

「大奥」に手を出すなら今

やっとよしながふみの「大奥」7巻が出たっ←っていつの話だよそれ
いや、出てすぐ買って読んでたのだが感想を書くヒマがなかったというわけで、
なんとなく寝そびれたので書いてみる。

もし未読の人がいたら、今、7巻全部オトナ買いすべし。
1巻がちょうど吉宗からはじまり、回想がらみで家光に戻り、
そこから家綱→綱吉→家宣→家継ときて
7巻で吉宗に戻ってくるのだ。
だから読み始めるにはちょうどいいのである。

一見、下世話に見える設定……江戸時代に奇病が流行して男子が減り、女将軍になって大奥には若い男が云々……つまり、男女大逆転大奥! てなところで不安を覚える方もおられようが、
中身は実に資料に基づく知的遊戯に満ちていて、実在の事件がうまく大奥の設定上で生かされており、
その合間合間によしながふみならではの慈愛に満ちた人間模様がはいってくるのである。
赤穂事件のくだりも江島生島事件のくだりもすばらしく料理されてるのである。
もし男女があそこで逆だったらそれぞれどんな思いを抱いて国を動かしていたのかがきちんと知的に想像されているのだ。
男の側からも女の側からも。

容赦ない設定に緻密な構成に絡まる細かな人間模様。これはもう名作である。
だから普通に「徳川家光以降の、江戸城内の将軍とそれをとりまく人間模様を描いた大河ドラマである」と思って読んでいい。
ときどき男女逆だったりすることを除けば、江戸時代を知るマンガとして読んで差し支えない……たぶん。

困るのは、マンガっておそろしく脳内に影響力のあるメディアであること。
たとえばわたしの飛鳥時代のイメージは学生時代に読んだ「日出ずる処の天子」(山岸涼子)であるし、
応仁の乱は「あっかんべぇ一休」(坂口尚)で描かれた世界だし、
江戸時代末期は杉浦日向子の一連の諸作のイメージで固まってる。
特にわたしの脳内葛飾北斎はすっかり「百日紅」に出てきたじいさんである。

で、最近、江戸時代の江戸はすっかり「大奥」になのである。
ときどき吉良上野介と聞くと頭の中におばあさんのイメージが立ち上がるのである。
もともと江戸時代ってあまり興味がなかったので、外からのイメージが住みつきやすいのだ。
困ったものである。

0 件のコメント: